機能回復のためだけのリハビリではなく、生活を取り戻すためのリハビリ

こんにちは、今日は、日常生活とリハビリの関係についてお話ししたいと思います。

日常生活こそがリハビリ

私は片麻痺の方のリハビリを担当することがあります。

片麻痺とは、脳卒中などで片側の手足が麻痺してしまった状態のことです。

一般的にはリハビリの時間は1単位20分で計算され、病院だと1日に1時間程度行っています。しかし、それだけでは十分ではありません。というのも生活は24時間あって、リハビリの時間はそのうちの1時間にも満たないからです。残りの時間はどう過ごすかが、リハビリの効果に大きく影響します。

私は、日常こそがリハビリだと考えています。

つまり、麻痺した手をよりよく動かせるようにしたいなら、リハビリの時間だけでなく、日常生活の中でも使う機会を増やすことが重要だということです。

例えば、テーブルにつくたびに麻痺した手を乗せるということを習慣にするとか、

ドアノブをひねるときには麻痺した手でひねるようにするとか、

新聞紙を持つようにするとか、

手を洗うときには麻痺した手も動かすようにするとか、そういったことです。

これらの動作は、麻痺した手の筋力や可動域を維持したり、関節拘縮や痛みを予防したり、脳に刺激を与えたりする効果があります。

また、無目的な肩の上げ下げ10回などよりも、やることの意味が明確で目的意識が持ちやすく、刺激の質としても高いと言えます。

リハビリの時間の使い方とは?

そしてリハビリの時間では、日常的に動かすことで出てきた問題点を解決することが目的です。

例えば、代償動作というのは、麻痺した手を動かすのが難しいために、反対側の手や体の他の部分で代わりに動かすことです。

これは、一時的には便利ですが、長期的には麻痺した手の回復を妨げたり、筋肉や関節に負担をかけたりする可能性があります。

そこでリハビリの時間では、代償動作を減らし、麻痺した手を動かす方法を教えたり、可動域制限によってできないことをできるようにしたりします。そうすることで、日常生活で麻痺した手を徐々に使うことができるようになります。

しかし、日常生活で麻痺した手を使うことは、簡単なことではありません。

どういう場面で使えばいいのか?

どのくらいの強度で使えばいいのか?

どんな動きをすればいいのか? などなど、当事者からすればわからないことがたくさんあります。

それに、全ての生活場面で使おうとすると、大変だし、疲れたり、痛めたりすることもあります。

そこで、私たち作業療法士や理学療法士は、患者さんの状態に合わせた使える範囲を見極めて、アドバイスしたり、サポートしたりするんですね。患者さんが自分で動かせるようになることが、最終的な目標です。

何がその人の能力を左右するのか?

私は、特別養護老人ホームで働いていた経験があります。

そこには

高齢で、

脳血管障害や循環器の病気、

内科の病気、

がんやパーキンソン病などの神経難病、

骨折後など、さまざまな病気を持った人が入居していました。

そんな中で、動きが良くなっていった人というのは、認知機能や精神状態なども関係するのですが、

やはり、日常的に動けているかどうかが大きな要因でした。

脳梗塞や骨折などがない限り、ADLが低下してくるというのは、廃用症候群が大きく関わっていると思います。

神経は使うか失うかという話がありますが、それは本当だと思います。

筋力低下は筋力低下というだけではなく、神経的にもよくないのです。

それを使うことによって、筋力だけでなく、神経の働きも維持されるのです。

これは、私の体感として強く感じていて、今でも自分の中核にある思いです。すごく大きな財産になっています。

セラピストがリハビリの時間にリハビリをして「自分の仕事がこなせた、よし良かった」ということではいけないと思います。

何の為のリハビリなのか?

リハビリをするのは、日常生活で自分の手足を動かせるようになるためです。

そのためには、リハビリの時間だけでなく、日常生活の中で動き出すことが必要です。

私たちセラピストは、その動き出しを見守り、支援します。

日常こそがリハビリだということを、忘れないでください。

以上、日常生活とリハビリの関係についてお話ししました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

最新情報をチェックしよう!